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国連資料などをもとにした住宅の寿命ともいえる、総務庁「住宅統計調査」による「住宅更新周期の国際比較」(注:1)によると、イギリスが141年、アメリカが103年、フランスが86年、ドイツが80年、日本が30年と、欧米に比べて極端に短くなっています。欧米では住宅は100年以上もって当たり前であり、家自体が優良な資産となっています。
 
 
しかし現代の日本人の多くが、築20年〜30年の木造住宅の値打ちを「無価値」だと認識しています。実際「うちの家は古いから値打ちはありません」と、所有者自身が語っているのをお聞きになった方も多いのではないでしょうか。事実不動産価値からみて、築15年以上はほとんど無価値とされており、売却の場合反対に取壊し費用が余分に掛かるくらいです。こんなに高額な住宅が僅か2〜30年でタダになり、おまけにゴミとなり産業廃棄物として処分費用が掛かるというのが今の日本の現状です。
やっとの想いで夢のマイホームを手に入れ、一生懸命働いて、ながーい住宅ローンを払い終えたと思ったら、住宅の値打ちはタダ、そして退職金を使ってガタの来た家の建替え――おとなしい日本国民だからできた日本の住宅政策だといえます。マスコミも至極当然のように取り上げることもしません。しかし権利意識の強い欧米でこんなことが起こったら、間違いなく大問題になることでしょう。
アメリカでは土地ではなく中古住宅(注:2)の価値が新築住宅と同じように、毎年数%(現在6%強)ずつ上昇しており、昔から家は価値を生む有望な資産そのものとなっています。(資料:新聞記事「手入れで上げた家の値段・工藤夕貴さん)西欧も基本的には同じです。ベストセラーになった「金持ち父さん貧乏父さん」(筑摩書房)にも書かれていましたが、一般的に家の価値は上がるのが普通です。そして週末の土曜日は家のメンテナンスに費やして家の価値を維持し、増改築(注:3)することで家の価値を高めています。
欧米では家の価値は減るどころか年々上昇、努力次第でより高めることもできます。 同じ「家」なのに、しかも大変高額なものが、欧米では住宅は優良な資産となり、日本では無価値になってしまいます。それを今の日本社会は当たり前のこととして受け入れています。高額な住宅が資産とならずに短期間で産業廃棄物になるのは、先進諸国の中で日本だけと言えます。正に日本の常識は世界の非常識といえます。 では何故このような現状を生んでしまったのでしょうか。
戦後の経済優先政策、俄かに作った最低基準の建築基準法、住宅をわずか20年の償却資産とした税制(注:4)、企業優先消費者軽視など、戦災復興のための臨時体制・構造が、国富を手にした現在まで基本的に変えられずに来てしまったためだと考えられます。 住宅を、世代を超えた優良な社会資本として、ストック経済に組み込んでいる欧米社会と、家を消耗品、耐久消費財と位置付け、スクラップ・アンド・ビルドを繰り返し、GDP(国内総生産)を押し上げるフロー経済に組み入れた日本社会との違いが、このような結果をまねいていると考えられます。
日本において不動産といえば、値上がりの見込める土地が中心であり、年々価値の下がる家屋は二次的な存在でしかありませんでした。しかしここ十年以上の地価下落により土地神話も崩壊、資産価値としての住宅にやっと関心が向けられるようなりつつあります。
 
 
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