|
|
 |
|
|
| |
| 日本の住宅ローンを、おかしいと思っている人は、まずいないのではないでしょうか。しかし、欧米先進国と違い、日本では全く異なった異常といえるローン方式がとられています。そのちがいを簡単にいえば、日本の住宅ローンは、個人(の信用)に貸し出しをするクレジットローンであり、欧米先進国は「物件担保ローン」と呼ばれる、住宅そのものに貸し出しをするモゲージ―ローンです。日本でも住宅の融資額は物件価格の8割であったり、物件を担保として取るので、土地・建物にローンが付くと誤解されがちですが、「住宅ローン」の名がついた個人ローンに過ぎません。その証拠に、もし仮にローン返済が出来なくなった場合、担保である土地・建物を処分した上に、まだ処分額と融資額の差額が借金としていつまでも個人に残ります(注:1)。 |
| |
 |
| |
そして何より日本の住宅ローンが異常といえるのは、生命保険を強制的に担保に取ることです。多くの識者が、「命がけ住宅ローン方式」と揶揄するところです(注:2)。結局、住宅そのものの価値認識が高くなり、資産価値が高くなるという良循環を生んでいます(注:3)。一方アメリカでは、個人ではなく住宅そのものに融資されているため、住宅ローンが払えなくなれば、住宅の土地・建物を返せば借金がなくなるという制度(ノン・リコースローン)が普通となっています。住宅そのものに対する価値の認識があり、適正に価値を判断、融資するからできる制度といえます。 長持ちさせるために建てられた住宅は、その品質に相当する価値が存在します。かたや日本の住宅は、金融機関からその価値を十分に認められていないといえます。 元建設省のキャリアである戸谷英世氏は、ハウスメーカーの住宅販売を「詐欺師商法」と辛辣に批判しています。氏の調査発表によると、ある有名なハウスメーカーの全国の平均売価は一棟当たり約2300万円でした。対して住宅そのものの原価(直接工事費)がなんと約800万円であったとのことです。住宅展示場やパンフレット、新聞・TV等の広告費、人件費等の間接経費が莫大(1500万円)で、実際の建物原価が販売価格の約三分の一になっています。僅か800万円しかかかっていない住宅それ自体に、もし金融機関が融資をするとすれば、その金額はきわめて少額と想像できます。一般的にいわれる販売額の8割(この場合1840万円)の融資はありえません。日本の住宅ローンが、本来の住宅ローンである物件担保ローン(モゲージーローン)になり得ない理由は、家に本来の値打ちが無いからだといえます。 販売価格に比べ、あまりにも原価のかけていない住宅は、当然のようにその中古住宅価値を急速に下げます。そして結局、住宅そのものの価値認識が低くなり、その結果、資産価値が低くなるという現状を生んでいます。住宅は年々その不動産価値を急速に下げ、15〜20年で無価値になる運命を辿ることとなります。 かたや北米においては、日本のようなハウスメーカーがなく、住宅建設は地元の小規模なビルダーがそのほとんどを担っているのですが、その経営内容は明確で、住宅建設に関わる全ての原価に対して、適正利潤とされる25%の利益を取るのが一般的となっています(注:4)。つまり販売価格の75%を原価にかけています。長持ちさせるための住宅は品質が良いから、中古になってもその資産価値を下げることはありません(注:5)。そのため住宅そのものの価値認識が高く資産価値を維持・上昇させています。当然、物件担保ローン(モゲージーローン)が成り立ちます。 結論として、日本の住宅は原価をあまりかけないので、短命となり、しかも原価の割りには売価が余りにも高いため、本来の物件担保ローン(モゲージーローン)が成り立たず、住宅ローンとはいえ土地・建物・生命保険を担保に取る、個人ローンでしか成り立たなくなっています。 日本の住宅ローン制度自体をすぐに変えることが無理であるいじょう、生活防衛上、資産価値の落ちにくい住宅を建てる以外にないといえます。 |
| |
| |
|